
キルケゴール「自分を見つけろ」「孤独を恐れるな」
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キルケゴールは1813年〜1855年を生きたデンマークの哲学者です。実存主義者であり、著書には『あれか、これか』『死にいたる病』があります。
キルケゴールの哲学は、“主体性を求めること”。人間らしく生きることの大切さと説いた哲学者です。
“私にとって真理であるような真理を発見し、私がそれのために生き、そして死にたいと願うようなイデーを発見することが必要なのだ。”
—『日記』
実存とは
キルケゴールの考えの元になっている実存について説明したいと思います。
実存とは、主体性を求める概念です。
この時期には多くの“実存主義者”が出てきました。
その背景には、非人間的な人間の姿があったのだろうと感じます。
皆が同じように教育され、訓練され、生かされる。
どこか機械のようにも感じる人間は、もっと真の意味で人間にならなくてはいけないと考えたのだと思います。
実存は3つの概念に分けて説明ができます。
①主体としてこの私の存在を指す
私は○○である。と主張する私は主体として存在しているという概念です。
②すでにこの世に存在している事実を表す
私は○○である。という主張の前にすでに私という主体が存在していると考える概念です。
③個を表す
私は○○である。という主張をするとき、○○である私として主体が存在するという概念です。
難しいのでわからなくて大丈夫です。
私もよくわかりません。
まあつまり、
実存は本質でもなく、普遍的なものでもない存在ということです。
すでに存在しているもの。
人は最初から誰か決まっているわけではなく、すでに存在しているものなのです。
「自分自身」=「主体」が欠けている時代に、この概念はとても新鮮で必要だったのだろうと推測できます。
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キルケゴールの「実存」とは
キルケゴール自身も、実存を3つに分けて考えました。
①美的実存
②倫理的実存
③宗教的実存
です。
①美的実存
とは、芸術的実存ともいい、快楽的生活に身を委ねる、芸術などの美的なものに触れることを言います。
美術に個性が出るように、主体性を示すことができるということでしょうか。
②倫理的実存
とは、義務を忠実に果たす態度をいいます。
何かを実行に移すことや、社会の中で役割を果たす行為が主体的ということでしょうか。
③宗教的実存
とは、主体を求めた孤独の末に神を信じることを言います。
主体性を求めた人は信仰に行き着く、その姿が主体性を求めたことを示しているということでしょうか。
つまり、
実存は、芸術的なもの、倫理的なもの、宗教的なものがある。
人は、芸術や考え方、宗教観に主体性が現れるという認識でいいと思います。
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孤独な単独者
キルケゴールは実存を捉えると、「人は孤独になる」と言います。
それを「孤独な単独者」と言いました。
自分を追求することは、客観的になってはならず、他人を介入しない事になります。
それはやはり孤独です。
孤独ながらも自分の主体性を求めた先に、真に自己になれるのだと言います。
確かに、自分を追求することは、誰かの判断や意見よりも、自分の意思が大事な気がします。
それは確かに1人でしかできないことで、その孤独を恐れてはいけないというメッセージを受け取りました。
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キルケゴールの名言
“私にとって真理であるような真理を発見し、私がそれのために生き、そして死にたいと願うようなイデーを発見することが必要なのだ。” ー『日記』より
この言葉を分析してみます。
キルケゴールはまとめると、実存を唱えた哲学者。つまり自分らしく生きろ!!ということです。
“私にとって真理であるような真理”とは、つまり、自分にとって必要なもの、自分が求めているもの、自分らしさを感じるもの、それを見つけること。そしてその真理のために生きようとする、その真理を求められたなら死ねるといえるようなイデー(理念)を追求しよう!!ということですね。
自分らしさを失いつつある今、もっと自分と向き合い、自分は何を欲しているのか、何を求めて生きたいのかをもっともっと考える必要があるのかもしれません。
そしてもしそれを見つけることができたなら、幸福になれるかもしれない、世の中がもっと良い議論ができるようになるのかもしれない、世界の苦しむ人が減りいわゆる平和を感じれる世の中になるかもしれない。
そういった可能性とこれから頑張っていこうというモチベーションをくれる言葉に感じました。
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参考書
※「新倫理」数研出版 p.155〜157を参考にしています。
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