『アンドロイドは電気羊の夢を見るか』フィリップ・K・ディック|タイトルの意味|ロボットと人間の違いは何か?

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アニメ『PSYCHO-PASS』の槙島聖護が紹介していた本だったので、読みました。

1968年に出版された本なので、比較的最近のものです。

映画「ブレードランナー」の原作だそうですが、私はまだみていません。アマゾンプライムではまだ見られないのが残念です。

タイトルが特徴的で、面白そうだなという印象がありました。読んだ後に、タイトルの意味を考えるのも小説を読むのに楽しいポイントですね。

①ざっくりとしたあらすじ

第三次大戦後の地球が舞台。多くの人間が召使いとしてアンドロイドを伴って火星に行きます。しかし、放射能が原因で地球に残ることになった人間もいました。そしてアンドロイドが火星から逃亡してきます。

アンドロイドの始末には、莫大な懸賞金がかかっており、生きている動物を所有することがステータスとなっている地球で動物が欲しい貧しい主人公は、アンドロイドの狩りをすることを決断します。

狩りを続ける中で、主人公は人間とアンドロイドを判別しなければなりません。

その過程を通して、人間とアンドロイドの違いに気づきます。

感情移入ができるかどうかです。

しかし、主人公はアンドロイドに対して感情移入をしてしまいます。

②この作品のテーマ

私は「人間とアンドロイドの違いは何か。」だと思いました。

主人公は、アンドロイドに感情移入をしていき、人間とアンドロイドの判別がつかなくなっていきます。

アンドロイドも感情を持っています。だからその僅かな違いを判別しなければいけないんです。

そして主人公は自分自身さえもアンドロイドなのではないかと疑い始めます。

だから人間だと思っている自分も、ある境界線を越えたら、ある基準で感情移入ができないと判断されてしまったら。

そう考えると、人間とアンドロイドの違いがわからなくなります。

機械化が進み、AIが人間を超えると危惧されている時代。私たちは将来、人間とAIの違いがわからなくなるかもしれません。

この本は、今から約60年前に書かれた本ですが、その時点でこの問題に言及しているのが面白いですね。

③タイトル『アンドロイドは電気羊の夢を見るか』の意味

『アンドロイドは、電気羊の夢を見るか』は、電気羊がポイントだと思います。

電気羊は本物の羊ではありません。だから「アンドロイド」と捉えてみます。

そうすると、「アンドロイドは、アンドロイドの夢を見るか」、いや見ないだろうと考えられます。

でも、アンドロイドは“”の夢を見るかもしれない、と言えるのではないでしょうか?

アンドロイドは人間に感情移入できるかもしれない。

また一方で、人間がアンドロイドに感情移入ができるかもしれない。

そうすると、何が人間にし、何をアンドロイドにしているのだろう?と問いかけているのではないでしょうか?

すごく解釈が難しい作品でした。

でも今の時代に考える意義は大きいと思うし、とても興味深いテーマでした。

④現代の問題と関連させて考える

私は、バーチャルアイドル人型ロボットに置き換えて考えられると思います。

バーチャルアイドルは、見た目や声がアンドロイドです。

そしてその人気はすごいですよね。アイドルは人間じゃなくても良い、と証明されたように思います。

すると、アイドルが人間である価値とアイドルがバーチャルである価値はどのように比較できるでしょうか?

そして、人型ロボットもホテルや受付での接客に使われるといったニュースを見ました。

将来、人間と同じような見た目をしたロボットが人間と同じ仕事をするようになる、と考えると、人間とロボットは労働における価値が等しく、または越されてしまうのでしょうか?

ほぼ人間の感情を持つアンドロイドとアンドロイドに感情移入ができる人間はほぼ等しいのかもしれない、と感じさせる内容でした。

映画も見て、また比較・考察をしてみたいと思います。

アニメ『PSYCHO-PASS』の槙島聖護が紹介していた本だったので、読みました。 1968年に出版された本なので、比較的最近のものです。 映画「ブレードランナー」の原作だそうですが、私はまだみていません。アマゾンプライ…

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