ヘルマン・ヘッセ「クヌルプ」|あらすじと考察|終わりがある美しさ|自分の世界を生きること

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ヘルマンヘッセに興味を持ってから、3作目を読み始めました。

「デミアン」「車輪の下」が最高だったので、今回も期待して読み始めました。

以上の2作品より、ページが少なく、100ページあまりで読むことができました。

今回も1人の素晴らしい人生に出会えました。

簡単なあらすじ

年上の女の子への恋が裏切られたことをきっかけに、クヌルプの人生が変わっていきます。放浪者となり自由に生きた青年は後悔を抱え、社会と対話し思考しながら生きていきます。

この小説のテーマ

私が感じ取ったのは、「永続性のないことの美しさ」です。

メインは人生。

人生は「死」という終わりがあります。それは永遠ではありません。

クヌルプは自分の人生を後悔していました。

「あれをしていなければ、」「あの時代がなければ、」と嘆きます。

ですが、最後神との対話で「あれでよかった」と納得します。

恋愛も続くものではないし、友情も続くものではありません。

幸せも、仕事も、全てには終わりがある。

その終わりが来ることを悲しんだり、後悔するのではなくて、その美しさに目を向けようというメッセージが私には届きました。

クヌルプの恋愛思考

ベルベレとの恋愛は、とても普通で一般的な感じがしました。

自分から誘うこともできるし、キスもする。

相手に夢中になるというよりかは好意を持つ感じで、むしろ好意を持たれたベルベレがクヌルプに惹かれていくような気がしました。

クヌルプは相手よりも自分の人生を選んでいる感じ。

相手のデートよりも自分の事情を優先したり、ただの行為のような感じでした。

そして初恋の相手・ヘンリエッテ、2度目の恋人・リーザベッドと名前が出てきましたが、そこらへんの時系列はよく分かりません。

あとで話に出てくるフランチスカとの恋愛は、本当に夢中になって仕方がない大恋愛をしていました。

学校を辞めることになったり、他のことは考えられないほどに夢中になる姿は、とても意外でした。

自分を保っていた印象があったために、今回は人生最大の大恋愛だったと言えます。

だから、クヌルプは恋愛を幾度か経験したわたしたちと同じ人間の恋愛観だと思います。

まだ大人でないクヌルプの恋愛は、親近感のあるものだと感じました。

「私」のクヌルプへの気持ち

この小説は「私」の視点で描かれているところがあります。

「私」から見るクヌルプは、とても共感させられるような感じです。

一緒にいるのが楽しい、たわいもない話をする友達である一方で、

圧倒的聞き手なんですね、「私」は。

だからクヌルプにめちゃくちゃ興味がある人物だと思うんです。

「私」がクヌルプを例えたものとして、思想家、大学教授、詩人がありました。

クヌルプの思想に惹かれていたり、考え方に惹かれていたのではないかな、と思います。

最後にクヌルプが思うこと

神と対話するシーンがあります。

そこでクヌルプは後悔します。

自分の人生を後悔しているけれど、最後は神の言葉によって「これでよかった」と思います。

大恋愛の裏切りによって、誰かを信じられなくなったり、何もかも嫌になってしまった。

でもそれも含めて、クヌルプの人生なのだと思います。

全てのものが美しいと言えるなら、その後悔の中にも少しでも美しい瞬間はあったはずだし、その美しさで人生が構成されるなら本望かなと。

それぞれの世界観で、色々な後悔があるけれど、最後にそれを受け入れて終われたらいいのかなと考えさせられました。

クヌルプの生き方

  • 自分で選択した人生
  • 自由に見られがち
  • 生活に美しさを感じる
  • ちゃんと向き合う
  • よく観察する
  • 人を愛する

まとめるとこんな感じかな、と思います。

クヌルプの魅力のある考え方

ここからは私が魅力的だと思った主人公・クヌルプの考え方を紹介します。

セリフ調、対話で描かれるこの作品は、とても興味深いセリフが散りばめられています。

特にクヌルプの深い考えは周りを圧倒させ、すごいと思わせるような真理をついたものばかりです。

孤独ゆえに考え抜かれた考えにとても魅力があります。

①聖書ではなくて、自分で考え出すべき。

クヌルプは、人生や真実を考える際に書物で学ぶことは違うと考えています。

もちろん素晴らしいことは書かれているけれども、一度学べはわかってしまったり、少し古いところがあると指摘しています。

その上にある美しさ、自分の人生を豊かにする何かは自分で見つけ出す、という主張がとても印象的でした。

②美しさとは花火のようなものである

クヌルプは、さまざまな全てのものに美しく感じることができるとした上で、それが老いてきたりなくなることに美しさを感じています。

もし永遠であったら、最初は悦びに満たされても、いつでもみれると慣れてしまう。

花火は瞬間の美しさに喜びを覚えるとともに、散ってしまう悲しさも同時に持ち合わせています。

クヌルプの人生観として、誰かと出会ってもその関係が終わってしまうことを自覚して付き合っていたと分かります。

③自分の中にある世界観を他の人とともにすることはできない

クヌルプは、結局のところ考えることは無意味だと言います。

結局は心の赴くままに生きるものだと。

その直感で作られた世界観は、他人には理解し得ないものであるから、善悪は判断できないということでしょうか。

その人生の価値をつけるのは自分次第だと伝えていると考えました。

確かに、思考をする際も、自分の好きなように考えている気がします。

学校で教わったことよりも、自分で感じたことを考えて選びとっています。

その点では、考えることが無意味というよりかは自分の好きなように考えればいい、ということかなと思いました。

まとめ

とても分析しがいのある作品でした。

クヌルプのセリフがいちいち良いので、ずっと感動する作品です。

途中、いくつかの詩が書かれているので原文で読むともっと面白そうです。

大学で扱ったり、論文などが書きがいのある作品かなと思いました。

とっても面白かったので、ぜひぜひ読んでみてください!

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