
『モモ』ミヒャエル・エンデ|簡単なあらすじ|時間泥棒|現代と照ら合わせて
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今回はミイヒャエル・エンデの『モモ』です。
この本は小さい頃に読んだのですが、当時の私には難しくて読みきれませんでした。
でも、タイトルに惹かれたり、その時持っていた本の表紙が忘れられず、大人になってまた読んでみようと思いました。
ファンタジーな世界観と現代にも通用するメッセージが多くの人を魅了するんだなとわかりました。
①簡単なあらすじ
ある町に、突然モモという女の子がやってきます。モモは人の話を聞くことが上手で、ただ人が話しているのを聞いているだけで、モモに聞けばなんでも解決するとみんなの人気者になります。
そんな毎日に、ある日、時間貯蓄銀行というものが人々を支配するようになりました。その銀行は、人々の時間を貯蓄することで長生きできるとうたい、時間を奪っていきます。人々は今の時間を失った結果、モモに会いにいく時間も無くなってしまいました。
この世界を変えることはできるのか。時間の本質とは何かを考えさせられる作品です。
②この本が伝えたいこと
この本のテーマは「時間」です。
様々な箇所で時間をテーマにしたものが出てきます。
時間を売ってしまった人々は、毎日忙しい日々を過ごしています。
そしてモモは、人々の変わってしまった姿に寂しさや孤独を感じるようになります。
孤独が暇だと感じるんです。
人と話す時間、誰かとゆったり過ごす時間はあっというまにすぎるのに、1人でいると時間が長く感じる。
これは、「誰かと過ごす時間が大切だというメッセージ」を伝えているのではないかと思いました。
③現代の私たちが考えるべきこと
人々は今の時間を売って、将来使おうとしています。
今の私たちに似ていると思いませんか?
働くのに忙しい。
今たくさん働けば、あとで楽になる。
確かに、今一生懸命働かないと生活していけないし、将来の不安も取り除かれない。
でも、今しかない関係性をないがしろにしていいのか、ということですよね。
今隣にいる友達、今一緒に暮らす家族、ペット、恋人。
いつか別れてしまう関係もあるのに、その幸せを諦めて、お金のために働くだけだと、本当の幸せを逃してしまうのではないでしょうか。
もちろん、自分で選択したなら、どんな使い方も尊重されると思います。
でも、自分の時間の使い道を考えたことがある人の方が少ないんじゃないでしょうか。
よく使う「時間がない」の意味を今一度考えるといいのかもしれません。
④感想
大人になって読むと、絵本で読んだらどれだけ可愛いだろうと想像しました。
冒険ファンタジーのような世界観がとても面白かったです。
「時間」がテーマの作品として有名ですが、時間の捉え方はいつの時代になってもあまり変わらないんだなと読み終えて感じました。
結局、人間は誰かと過ごす時間に幸福を感じる生き物なのかもしれません。
あと、あとがきで面白かったのが、モモが浮浪児であることが社会から阻害されている構図を生み出していると書いてあったことです。
全てが管理される社会で、それにそぐわない人間は排除される。
その視点から読んでも面白いなと思いました。
あとは、時間を銀行に預けることが普通の世界で、それを反するものは処罰される。
社会として、法律や規則を作ることに対しても疑問を感じました。
時間という観点だけでなく読めるのも面白いですね。
私は、コロナ禍で人と会ってはいけないなかで、自分の時間をどう過ごすかを考えるのに、参考になる本だったなと思います。
誰かと過ごす幸せが推奨されない世界ですからね。
オンラインで人と会うのもなんか違うし、、
もっと人と人が安全に会えるようになったらいいですね。
それまでは、自分の趣味を楽しみながら、誰かとチャットして時間を過ごそうかなという感じです。
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